怪我の功名

あきひろ佐藤

2010年12月05日 19:27

退院してから一ヶ月あまり、体調は回復し相変わらず忙しい日々である。
入院した当初は本など読む余裕すら無かったが、二三日もすると暇をもてあまし、
院内をうろうろ、患者たちが置いていった共用の本棚で見つけた本が、
立花隆著、「宇宙からの帰還」であった。
やっと出会えた!!正直な感想である。

何故なら25年ほど前、何かのレクチャーで、この本の一部を課題として読まされた事があった。
だがそれが立花隆の本であったとは全く知らず、
アポロミッションの一部、例えば、カウントダウン、
打ち上げ後の時間など、興味深い内容の断片だけが何故か海馬の奥深くに残っていた。

宇宙空間での全ての作業工程は、打ち上げ後時刻、何時何分に何をする
という手法が用いられる。
地球上のグリニッジ時などは非常に不便であるからだ。

また航法に使われるジャイロと加速度検出装置から現在位置を割り出す、
慣性航法装置の積算誤差を、恒星二つと地球、もしくは月を、
何と六分儀を用いて、打ち上げ後、何時にどの方角に見えたかを測っていた。
そのデータをヒューストンに送り、起動修正のため再計算を行っていたのである。
アナログなのか、当事の最先端なのかマゼランも用いた天測である。

この事が載っている本を探して間違って買ったのが、マイケルコリンズ著の 
「月に挑む」であった。
私が探していた本とは違ったが、宇宙飛行士の勉強でテストパイロットと違っていた点が、
星座、恒星の暗記であったあたり、実に興味深いものである。

二つの本に共通する宇宙へ行った人が神秘体験らしきものをし、
それが思考や生き方に影響し、物事を平和的に捉えたり、
実践していく動機になれば、それに越した事は無いと思うが、
凡人の私に火星移住計画などは、ちょっとついて行けない。

ちなみに当時の慣性航法装置、検出された加速度を一回積分し速度を求め、
さらにもう一回積分して距離を出し、それを積み上げていく、
そのロジックは、高校2年で習う数学が使われている。

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