さぽろぐ

グルメ・スイーツ  |

ログインヘルプ


2007年04月14日

演奏会の裏話 6.弦切れ

演奏会の裏話 6.弦切れ学生最後の冬の定演に向けてオケが始動したのは、夏の定期の前だった。
普通ならば、演奏会が終わる前に、次の曲の準備はしない。
だが前プロ、ベートーベンの4番、メイン、ストラビンスキー「春の祭典」では、
事情が変わってくる。

早々にビオラの、おっしょさんから、都響で使用した楽譜を入手し、演奏のつぼを伝授していただいた。
フラジオ(ハーモニックス)が、全く分からず手紙で知らせてもらう。
本当に優しい先生だった(手紙は今も宝物にしている)。

春の祭典では、1部でビオラが4人だけで演奏する所と、2部の
しーんと静かな中、2カ所ビオラだけで奏く大きな山が3つある。
なかなかメンバーがそろわず、エキストラの方、もちろん私の師匠にも
ソリに加わっていただいて、ようやくといった塩梅だった。

編成も通常のに加えて、ティンパニー追加1セット、バストランペット、
アルトフルート,バスクラリネット、ワーグナーチューバ、、、、と異色の楽器が使われる。
変拍子のみならず、音も不協和音が一杯で、正しいのかどうなのか、こんがらがってくる。
只でさえ、ビオラのユニゾンとは、単二度で響く?事とと、ジョークされる始末。
またベートーベンの4番、一見簡単そうなのだけれど、
曲全体を仕上げるのは、難しい曲である。

異例の事だが、ソロのこともあり、私が首席を務めることになった。
指揮は小林先生。

ステリハでは、特に何事もなく順調に進んだ。
たたし当日就職先の内定者懇談会があり、遅れてのステリハになった。
ちなみに懇談会は早退し、社長と会う事は二度となかった。
ステリハが終わった後、ビオラ8人で、ソリを確認して本番となる。

冒頭、ファゴットが危なげなく吹ききる。彼のファゴットは本当に上手い。
木管も良い感じ、ホルンも良く鳴っている。
ところが、あまりに興奮してしまったせいなのか、
1部の終わりのあたりで、私の最高弦A線が、ブチッ!!!!
真っ白である。
即後ろの同期から楽器を借りる。
取られた同期はステージ袖まで行って、予備の楽器を持ってくる。
バイオリンならば、これでめでたしめでたしなのだが、
ビオラはそうはいかない。
私のビオラ42cm(胴体の長さ)、借りたビオラ38cm?差がありすぎた。

2部の1回目のソリは、何とか凌いだ。
しかし2回目、私は1回目で安心したのか、ポジションが分からなくなった。
簡単な音なのに、、、、、、
結局、核となる旋律がボロボロになってしまって、ビオラ全員ほぼ崩壊、、、
ソロの最後1フレーズだけ、ハモッタかどうだか、、、、
後は何をどう奏いたか、覚えていない。
ただ悔しかった。
トラウマとなったのだろう、その演奏会の録音や曲まで10年近く聴けなかった。

それ以来演奏会では、必ず弦1セットを近くに用意することにした。
ある1回を除いて。

あなたにおススメの記事

同じカテゴリー(演奏会の裏話)の記事画像
ここまで来たか、
演奏会の裏話 26.仕込みその二
演奏会の裏話 20. ステージに潜む悪魔
演奏会の裏話 13.忘れ物
演奏会の裏話 10.鉛筆コロコロ
演奏会の裏話 5.指揮者の暴走
同じカテゴリー(演奏会の裏話)の記事
 ここまで来たか、 (2011-08-13 16:54)
 練習 (2011-08-07 23:01)
 ブタ券 (2011-03-29 17:34)
 演奏会の裏話 28. ホールのマナー違反、キタラ (2009-10-28 00:35)
 演奏会の裏話 27 リサイタル直前 (2009-10-20 16:53)
 演奏会の裏話 26.仕込みその二 (2009-09-26 15:59)

Posted by あきひろ佐藤 at 07:28│Comments(6)演奏会の裏話
この記事へのコメント
あ 様

 弦切れ、たま~に、コンサートでみかけることがありますが、
 ヴィオラのご苦労・・・楽器のサイズがかなり違うんですねぇ・・・初めてうかがいました。42cmと38cmでは、まるで違う楽器ではありませんか。
 チェロも大きさの違いは若干はありますが、もともとでかいので、その差はあまり気になりません。ヴィオラの4cmは困りますよね。

冬野
Posted by 冬野由記 at 2007年04月14日 21:02
佐藤さまへ

コンサートに行くと、よく舞台に楽器が置いてありましたが
そういう理由だったのですか・・・(私が見たのはギターとマンドリンです)
絃が切れたときの対策だったのですね。
先週の夕刊にダンディーなファッション姿の小林先生が
掲載されていました。
即、佐藤さんを思いました。
Posted by Yume at 2007年04月14日 23:46
冬野 様

コメントありがとうございます。

バイオリンが36CMなので、ビオラの4CMはでかいです。
本当に、どうにもならなく、タンポのとれたクラの先輩の気持ち、
よく分かりました。
その時のうちあげ、泣きました。

写真のゲルギエフ、凄いです、最後の、、、、も絶妙、
お勧めです。
Posted by at 2007年04月15日 21:04
Yume 様

コメントありがとうございます。

弦が切れた時の対応です。
でもビオラの場合、楽器を置くのは、あんまり意味がないかもしれません。
今は、ドミナントとかオブリガート等の人造ガット弦があって、
あんまり切れませんが、昔の弦は寿命が短かったです。
一番太いC線で8000円ぐらいしてました。

小林先生、
声が色気あるんですよ、良く通る声で、、、、
ビオラをドイツ語で、ブラッチェンって言うのですが、
先生からブラッチェン!!って言われたら、イチコロでした。
ちなみにホルンは、コルノ!!

先生が棒を振ると、オケが化けるんです。
今まで手抜きしてたかのように、、、、
非音楽的なことをする、音を出すと、叱られました。
素晴らしい指揮者だと思います。
Posted by at 2007年04月15日 21:14
あ 様

 これはゲルギエフを聴いておかねばなりませんね。

 最後の・・・・・あの直前のフルート、普段の練習ではなんてことないパッセージなのに、春祭のここは、ちょっとした恐怖でしょうね。終わりよければすべてよし。終わりポカやりゃ・・・すべて・・・・うわああああ! という気分で。
 別の曲ですが、昔・・・吹奏楽で、1stフルートだった私は、なんてことないパッセージで、なにを舞い上がったのか、序奏の後、主部の直前の大事なところのソロ。ただの四分音符の列が、また見事な附点リズムに化けてしまって・・・・(古楽ならありえますが)・・・最前列のお客が「ぷっ」と吹き出したのがもろ聞こえ、皆が笑い、私が泣いたことがあります。

冬野
Posted by 冬野由記 at 2007年04月15日 22:47
冬野 様

最後、ちょっとしたトラップがしかけられてあります。
オケもかなりの力の入れようで、いっさいの手抜きはないと秀作だと
思います。最近出たものの中でBESTかもしれません。

冬野さんも苦い経験をされていたのですね、、、、、
そういう記憶は、いつまでたっても忘れられないものでしょう。
音楽は、時として残酷な面もあります。
Posted by at 2007年04月17日 05:49
※会員のみコメントを受け付けております、ログインが必要です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
演奏会の裏話 6.弦切れ