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2007年03月10日

演奏会の裏話 2.出ない合図

初めて第九と出合ったのは、高校2年の時だった。
当事、部活で合唱をやっていたところ、旭川の合唱団と
札幌交響楽団とで、第九をやる企画があり、出演の募集があった。
旭川は合唱が大変盛んな町で、沢山の団体があり、
合同で歌おう、というもので。確か本番は11月の終わりころだった。

指揮は、山田一雄先生。

私は迷わずに出ることを決めた。
何度か合同練習を実施し、これは大変な曲だあ、と思った記憶がある。
やはり、耳コピの必要があるので、レコードを買って(ワルター)聴いたりもした。
ミニチュアスコアーを買って、レコードを追いかけたりも試みた。
その時読めなかったハ音記号が悔しくて、後にビオラを始めるきっかけにもなる。

本番当日のステージリハーサル、白髪のおかっぱ頭?に銀縁メガネで、
さっそうと現れた山田先生、
「今年も第九は沢山演奏されますが、東京以北で、最高の演奏会にしましょう。」
とおっしゃたのを昨日のことのように覚えている。
眼窩に奥まった目、力があった。

リハは順調に進んだが、4楽章後半部、フーガのあとの
テナーからアルトにつながるところ、アルトの歌いだしの音が低くて響かない。
(Ihr sturzt nieder  Millionen までテナー、AhnestのAhからアルト)、
なので、テナーがアルトの歌いだしの一音まで歌うように指示された。。。
そんなん有りなんだあ。オカマテナーなんて言ってたっけ。
そして、オケも合唱も大騒ぎになっちゃうプレストの後、どうしても、
伸ばしの後のBruder! (ブリューデル!)が、入れない、、、、、
ほとんどみんな落ちた。

山田先生、「そこのブリューデル、必ずザッツ(合図)出しますから」

ああよかった。と思って本番、
3楽章、4番ホルンのソロ、Hの音階みごとにはずし、、、
プロでも間違うんだななどと妙に感心し合唱の出番を迎える。

そろそろ、問題の箇所だ。指揮を見なくっちゃと構える私。
このあたり、と思って、歌おうと思ったところ、
指示が出ない!!!エ”!!!
何回も歌った事のある大人たちは、平然と次を歌っている。
固まっているのは、私だけ、、、、、
完全に置いてきぼりである。気がつけば、あと数フレーズ、、、、、

山田先生の嘘つき、と思ったけれど、仮にそんな事故が起こっても、
平然と先へ行けなかった私が悪い、と反省した。

先日、オケの練習で、第九のさらい所、ピックアップしてやったのだけれど、
3楽章のある所で、急に演奏をやめたくなるところがあった。(指揮の先生も)
当事のレコード、二枚組みは高価で、一枚ものだとひっくり返さなきゃあ
って、つい思ってしまう、それが3楽章の中。
CD世代には、想像出来ない感覚だろう。

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Posted by あきひろ佐藤 at 11:03│Comments(0)演奏会の裏話
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